東京地方裁判所 昭和29年(行)82号 判決 1955年6月30日
東京都墨田区寺島町四丁目百九番地
原告
斎藤朝重郎
(武ノ内哲次郎外十四名のうち)
右訴訟代理人弁護士
青柳盛雄
植木敬夫
東京都墨田区業平橋一丁目十二番地
被告
墨田税務署長
永井岩
右指定代理人
横山茂晴
堺沢良
渡辺勇
右当事者間の昭和二十九年(行)第八二号課税処分取消請求事件につき次のとおり判決する。
主文
原告の訴を却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
一、請求の趣旨
被告が昭和二十八年五月十五日附でなした、原告の昭和二十七年度所得税の総所得金額を金十六万三千九百円と訂正した決定の内金十二万円を超ゆる部分を取消す。
二、請求の原因
原告は昭和二十七年度所得税に関しその所得金額を金十二万円として確定申告をしたところ、被告は昭和二十八年五月十五日これを金十六万三千九百円と更正する決定をなし、これを原告に通知した。よつて原告は被告に対して再調査の請求をしたところ昭和二十八年七月二十九日却下の決定があつたから、更に東京国税局長に対し審査請求をしたが、昭和二十九年四月三十日これを棄却された。然し被告のなした前記更正決定は原告の所得額の認定をあやまつたものであり、金十二万円を超ゆる部分は違法であるから、この部分の取消を求める。
なお、本訴提起の日が被告主張のとおりであることを認める。
三、被告の答弁
東京国税局長が昭和二十九年四月三十日附でした審査請求棄却の決定は同年五月一日原告に送達せられた。然るに原告はそれから三ケ月以上経過した同年八月二十五日本訴を提起したのであるから、所得税法第五十一条第二項の規定に違反し本訴は不適法である。よつて訴の却下を求める。
四、証拠関係
被告指定代理人は乙第一ないし第三号証を提出し、原告訴訟代理人はその成立を認めた。
理由
原告は、原告の昭和二十七年度所得税に関する確定申告に対し被告が原告主張の更正決定をなし、原告の再調査請求を棄却し、原告がこれに対し東京国税局長に対して審査請求をしたところ同局長は昭和二十九年四月三十日附で右請求を棄却したとして、被告の前記決定の取消を求めているが、
成立に争のない乙第一ないし第三号証によれば右東京国税局長の棄却の決定は同年五月一日原告に送達されたことが認められ、本訴の提起された日が昭和二十九年八月二十五日であることは原告の認めるところである。故に本訴は所得税法第五十一条第二項の期間経過後に提起された点において不適法という外なく従つて却下を免れない。
よつて訴訟費用の負担につき行政事件訴訟特例法第一条、民事訴訟法第八十九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 近藤完爾 裁判官 入山実 裁判官 粕谷俊治)